2012年11月29日のツイート

テアトル新宿ふがいない僕は空を見た』監督:タナダユキ
猛烈に嫌いな作品。性描写が取り沙汰されていたので、『危険なメソッド』と併せで見てみたが、もう作品として雲泥の差だった。まずありとあらゆる描写が「それっぽさ」や「〜げ」なのがとてもノレない。アニメのコスプレって「こんな感じでしょう」、ネットでセックス映像がばらまかれて、学校はこんな感じになるでしょう、全てが妙な安直さを伴う描写と、果たしてそうなるであろうかと因果関係が提示されて萎える。たぶんこれがこの監督流の描写の仕方なのだが、どこか演出放棄にも見えなくない、そこ演出しなきゃでしょという箇所のオンパレードなのがどうなんだろうか、というかそこが肝じゃないかと思ってしまったのだが。

あと猛烈にテンポが悪くって途中のテロップ処理も何だか雑にしか見えなくて、そうならそうとやりきれば良いのに、ブツ切り感が凄まじくて、入り込めなかった。

きっと伝えたいことはあるんだろうけど、たぶんこの監督の作風に向いていなかったというか、そうするにしても演出を加えてリアリティラインを正しいものにしなくてはいけなかっただろうか。

■事務所にいたら悔しいことがあった。やってやりてー

ヒューマントラストシネマ渋谷ボディ・ハント』監督:マーク・トンデライ
何か評判が悪い気もしたので、見てみたら面白いじゃないか。ジェニファー・ローレンスの全くもって正しいそのボディの使い方に加えて、各種ハッタリ描写とMTV編集がジェニファーの身体と相性が良いのだ。このバランスというか初歩的なホラーと、新人女優の組み合わせの妙についてにパンフの解説に記していたのだが、ジェニファー・ローレンスが大作に出演していくであろう今後に、このような小作に出た彼女の姿そのものが重要な記録として語り継がれていくのだろうか。

構成もフリも効果的だったと思う。前半に引っ越しをしてきて怪しい隣人がいる語りや、ジェニファー・ローレンスのキャラクター造形を些細な会話で説明していく(まさにそれがジェニファーの凄いところなんだが)プラスでエモいロマンスから濃厚なディープキスとこれでもかとジェニファー・ローレンスの魅力を引き出すショットが素晴らしい。もっと言うとテンポが異常に良く、ノレるのだ。

つまりエモかった!

ヒューマントラストシネマ渋谷『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ〜ア・トライブ・コールド・クエストの旅〜』監督:マイケル・ラパポート
音楽ドキュメンタリーとしては異例なくらいに生々しいメンバーの内紛の証言が語られている。それがインタビューで紡いでもそのイデオロギーの違いがここまでドラマティックに、そして映画として面白いと思えるものになっているのがとてつもない発見だ。アニメーションやPVの挿入、音楽の使い方も含めて初めての人にも分かりやすい作り。それでいて、とんでもないことがこのメンバーの中で起こってしまっているのだと分かるこのバランスがドキュメンタリー作品としては近年稀に見るバランスで完成されていると思った。ヒップホップの精神性も含めてだが、とにかくグループのいざこざや内紛をインタビューで見せるその構成に僕は恐れ入った。