『パーフェクト・センス』

■仕事。

新宿武蔵野館パーフェクト・センス』監督: デイヴィッド・マッケンジー
ディザスター映画。五感の一つ一つがなくなっていきながら、その中で普遍的な愛に気付いていくストーリー。技法に目新しさとエッジの効いた撮影方法がとられている。ユアン・マクレガーに顔真ん前にカメラが張り付いて、まるでバラエティ番組のようなカメラポジで撮影されていたり、巧みなニュース映像や、奇怪な理科映像が軽快なナレーションで状況説明を端的に映し出す。その中で「食」の扱いがとても上手い。空腹感が満たせなくなり、何でも食べてしまうシーンは、主人公がコックであるという設定を巧妙に活かしている。特に聴覚を失うシーンは最小のノイズが聞こえながら、聴覚を失い街を彷徨う姿が実に印象的だ。視覚芸術の映画は音と映像による二つの要素による関与が改めて強い効果を発揮している。そのうちの聴覚の喪失を疑似体験させるには、無音にするわけでもなく、非常にいやなノイズを発生させ、行くあてのない彷徨う映像を付加すれば良いのである。