未知との遭遇

■『未知との遭遇: 無限のセカイと有限のワタシ』佐々木 敦 (著)
この時代に一体何を肯定していくのかということを佐々木さんが問いにしていたことを軸に改めて問いただす新しい形の自己啓発。非常に難しい類いに言い回しが多く、何度も読んでは戻るという読書体験を強いられたが、それでも強い満足度が残る。

第1章はオタクの変容だった。オタクという概念が変容していき、ある種のポップ化が進む。これは言わばオタク全員化とも言えるだろう現象なのだが、その中で論理的にどのように知識と自分の立ち位置を客体化していけば良いのかという回答だと思う。

時制の話が出てくる。運命論、後悔をするという概念は何なのかという問いの中で、筆者は「最強の運命論」を推奨する。この最強の運命論とはそれは「運命」であったが、同時にその先にあるものを僕らは知らない。という話である。

しかし文章が酔わせるというか、妙な自己肯定で、それは一体どこまで信憑性があるのかという問題もにおわせていて、それ自体をテーマにしているのだけど、こういう文章をダラダラと書いたところで、一体人は前に進めるのかはさっぱり分からなかったりもするのだけど。

運命論のようなものは楽に考えた方が良い気もした。