『七人の侍』『無言歌』『ニューイヤーズ・イブ』

■朝起きて調べたら、銀座で七人の侍が!ということで銀座に向かう。こうも休日を勉強という名目のもと映画館に通い詰めている。ぼちぼち実践にうつしたいとこではある。

有楽町スバル座七人の侍』監督:黒澤明
大林監督のトークショー。黒澤さんはジョン・フォードをマネていた。マネの天才だった。黒澤の続きを僕らで作らないと。映画で平和にしないと。胸が熱くなる。映画は全く色あせていなかった。後ろにワンカップ大関を持ったおっちゃんがいて、飲みながら笑っていたりしていた。こっちも幸せな気持ちになった。七人の仲間が集まり、それぞれの力を発揮し、目的を果たすために命を費やす。おそらく漫画ワンピースにまで語り継がれているだろう形式の原点。

■ヒューマントラストシネマ有楽町『無言歌』監督:ワン・ビン
今年に入りワン・ビン特集を年間を通じて観賞した終着点。ドキュメンタリータッチと安易に呼びたくはないが、その映るショット、テーマはワン・ビンのこれまでのドキュメンタリーと多くの点で似ている。背中を映し出し、その被写体の移動を十分な尺の中で捉えたり、カメラの存在を感じさせることなく、その会話を映し出したり。もうドキュメンタリーと見間違えそうなくらいにショットは劇映画になっているからといって変わらなかった。冒頭のタイトルの出方も全部一緒だった。これまでの

丸の内ピカデリー『ニューイヤーズ・イブ』監督:ゲイリー・マーシャル
隠れた傑作。素晴らしい。監督は『バレンタインデー』を撮った人。『バレンタインデー』はそのタイトル通りバレンタインデーの一日に起こる出来事を多数の登場人物のエピソードを織り交ぜ、見事な構成とカタルシスをもたらした傑作ラブコメだった。本作はその続編を予定されていたそうだが、大晦日の夜を舞台にした設定に修正され完成された。極めて高画質なその画面はニューヨークの街を鮮明に映し出している。非圧縮のデジタル上映にまさにぴったしの題材と舞台に加えて、俳優陣がまあ画になる人たちばかりだ。これは単純に4番バッターを並べただけという打順ではなくて、しっかりそれぞれのポジションをそれぞれの役者が把握していることで、全世代がどこかしらに感情移入しやすいパートを作っていると思う。『ラブ・アゲイン』と共通しているのは、全世代型のラブコメということだ。子供がいて、20代がいて、円熟の恋愛があり、また死期が迫るものが見る愛がある。それぞれにとって特別な日を迎える、イベントを機により幸せになりたいと願い行動する人たちの普遍的な祝祭原理を見事に今の手法と構成で描いているのだ。

一際光ったのはエレベーターパートで密室になるリア・ミシェルが抜群の可愛さと、持ち前の歌声で彼女しかあり得ないキャスティングでカタルシスを与えているということだろう。それ以外にも、それぞれがそのパートで何をすべきかしっかり咀嚼した上で演じているのだろうという空気が伝わってくる。選曲の気持ちよさと、画面に彩られる豊かな色彩、幅の広い俳優たちの表情。お約束の展開ですら、それらがスイングすることが如何に心地がいいことかということをこの映画は証明している(近年のテレビ局出資映画はそれすら出来ていないということが、一つの問題点だという気もこれを見て確信した。例えば「20世紀少年」とか)

■事務所に戻ったら大家健さんがはしゃいでいた。とんでもないクリスマスのスタート。