『復讐捜査線』『スーパー!』

新宿ミラノ座『復讐捜査線』監督:マーティン・キャンベル
メル・ギブの容赦のない身体性が際立っていた。娘への幻想をしっかり描ききるのもgood。親父の主観の妄想は復讐するための手段のなさは映画においては過剰で良い。過剰さの中にその俳優や演出の意味が通ってくる。そんな映画だった。ミラノ座の雰囲気もやっぱり良いなと思った。

■違う興行の編集。

新宿武蔵野館『スーパー!』監督:ジェームズ・ガン
思っていた以上に残酷かつ低予算で魂が先行する良い映画だったと思う。とにかく音楽の切なさと、哀愁に対してしっかり役者がマッチしていた。手書きのアニメーションや神様の演出はむしろ「おやすみプンプン」に近い戯曲化で、新しさと主人公をかえってより人間らしく見せる表現になりえていた。エレンペイジの可愛さは群を抜いていてキャラクター造形として人間の衝動を押さえられない若々しさが心地いい。クリムゾン・ボルトにセックスを迫る若気の至りとも言うべき様相が清々しい。衝動に生きる人間は映画にスパイスを与える。撮影の雰囲気もレスラーに近いアングルや質感で撮影されていた。この撮影方法は主人公をより生活に根ざしたものに見せる作用があるように思えた。質感に加工がないからか、ロケーションがそうなのかは分からないが。

新宿バルト9コクリコ坂から』監督:宮崎吾朗
昔の時代を描く意味は汲み取れなかった。ジブリ宮崎駿が監督をしないことで、何かを踏み出せないでいることは間違いなさそうだ。

コクリコ坂から』コロッケも納豆も美味そうだった。ただ先日見た『海洋天堂』の方が遥かにジブリっぽい感じがした。アニメーションとしての魅力もショートショートでみたいくつかの短編の方がワクワクさせられたり。そういう意味ではもっと作品に裏切られたいのかもしれない

『海洋天堂』はことごとく手書きアニメで描かれそうなロケーション、人物造形なんだけども、それを実写でアクションなしのジェット・リーが更新してしまうということが起こってしまっていて。コクリコを見ると、いくつかのキャラクターを見ても平板さは何故か際立ってしまう。勝手に比較してるだけだが

手書きアニメ独特の高揚感はやりようによっては実写でも更新が出来るというのが個人的な発見だった。海洋とコクリコが結果的に二本立てになって浮き出たのも何だか面白い結末