腐れ縁

冨永君と会って、お互いの現状を話す。自分らの世代、社会、プロレス、仲間と色んなテーマで話をしていたら、時間が経っていた。不思議なことに冨永君を卒業制作の主人公に選んで、もうすぐ2年が経とうとしている。腐れ縁という言い方は分からないが、近い職場にいることは間違いなくて、お互いの人生の1ページに自分たちのそれぞれが深く入り込んでいることは間違いない。だけど冨永君と自分はどこか似て非なる存在であり、また不思議な友情が存在しているような気がする。いつかは分からないけど、自分たちがまだ活躍出来るうちに冨永君たちと何か爪痕を残したいなとは思う。僕らはヌルく生きることと、困難に生きることの両極の面を見てきている世代だと思う。だからこそそんな狭間で格闘する姿を記録におさめたり、表現に活かしたい。

『ガクセイプロレスラー』の完全版を冨永君に渡した。かなり気に入ってもらえたようだった。冨永君は『ガクセイプロレスラー』を見たとき、卒業アルバムを渡されたような感覚だったそうだ。今回の再編集では、4年生全体にスポットが当たっているため、より「卒業」というテーマがピックアップ出来ると思う。さらに短編で回収できなかったつっこみどころや、レスラー個人の思想、勝敗の美学にまで、幅を広げた。冨永君は「今の後輩に見せたい」と言っていた。現役部員の中で、学生プロレスを辞めてしまおうと考えているレスラーもいるらしい。その中で本作を見ることで学生プロレスの尊さを伝えられると判断したのだろう。

改めてプレビューしてみても、なかなか見応えもあり、各プロットの回収が短編より上手くいっているなと感じているので、機会があればどこかで見せられればとは思うが。