『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』『イメージの進行形』
一本の映画と一冊の本から共通する出来事を見つけた。
先週、時間があるうつにみれた「サイド・バイ・サイド」と偶然紀伊国屋で買った「イメージの進行形」だ。
■新宿シネマカリテ『サイド・バイ・サイド:フィルムからデジタルシネマへ』
映画についてのドキュメンタリー、フィルム衰退がしていく中で、デジタル映画の台頭と及びその周辺の出来事について、キアヌがホスト役に回り、大御所の作り手から、キャメラメーカーの社員など幅広く取材して行く。
何より、ストーリーテリングをすることの意義、希望をラストにしていることが本当に素晴らしいと思った。結局のところ、デジタルの功罪における功の部分は、貧乏な人やインディーの人にもストーリーテリングをすることを可能にしたことだと思った。画質云々というより、それを使って何を語るか、何を共感してもらうか。また映像のイメージはフィルムやデジタルなど使う機材の適材適所によってその選択の幅が広がっているということ。イメージの広がりは留まるところを知らないが、使う機材によってはそれがばっちしハマるところがある。
当然ながら、映像で物語を語る幅が広がる以上、その時代に合わせた技術や機材の勉強をしていかなくてはならない。そんなことを雄弁に語る映画監督たちの姿、肖像が何よりも美しかった。
また作家はその選択に確固たる思想を持って撮影に望まなくてはならないと感じた。
■『イメージの進行形』
Twitter、ニコニコ動画といったソーシャルによって広がった映像圏を新たな視線で批評、横断する試み。いくらか暴論ともとれない、難しく、整理が出来ていないように思える事柄もあったのだが、終幕へと向かうとそれらの語りが見事な線に繋がってくる。つまりクラスタと呼ばれる小惑星がそれこそTwitterのRT機能のように拡散する可能性、及びそれが変革に繋がる可能性について多角的に検証しているのではないか。無数に映像が様々なメディアで溶解している中、そのイメージの表出が「神聖かまってちゃん」や「松江哲明」といったニュージェネレーションを生む可能性、及びこれまで見えなかった小惑星が表に見え始める時代だということ。それらは隠れるのではなく、この映像圏の時代だからこそ姿を見せ始めようとしているのではないかと。
どちらも映画、映像についての話ではあるが、どちらも希望的な観測がなされている。特に「サイド・バイ・サイド」ではデジタル以降の映画作り、それによる懸念もあるが、物語を語る意義、そして新たに物語が作られる必要性についてしっかりと捉えられているのが素晴らしく、「イメージの進行形」はまさに震災以降にその必然性が合致するという部分で、デジタル、氾濫するイメージの使い方によってはヴァイラル的に新たな潮流が生まれることへの期待、そしてその物語の語り手の登場を期待しているような感じ。
どちらも言えるのは日々氾濫する映像に対して、どう捉えるか、どう武器にしていくかということであろう。この問題に無関心でいれば、その氾濫の中に埋もれるだろうし、自覚をすれば、どんな小さな物語でも語る必然性が見てくるのではないか。間違いなく「映像」の在り方、そして映像の意義は実に多用な時代に入ったと言えるだろう。
そんな中で、映像で仕事をしているんだから、前向きに考えて面白いじゃないか。この時代。
- 作者: 渡邉大輔
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■疲れきった一週間。とりあえず1/14にBiSのリキッドを。今まさに死ぬ気で上を目指そうとしているアイドルチームの活動が見れる事、それが永遠でないことがアイドルの宿命性であり、またそれを応援しなくてはならないというファンの共同性においてでしか生まれない空間であったと思う。ネットでBiSにと湘北高校感があると書かれていたが、妙に納得した。「スラムダンク」とは勝利、友情、努力の少年ジャンプにおきながら、必ずしも勝利し続けていた漫画ではなかった。寸前の惜しい敗北もしっかり描いていた漫画で、まさにBiSの今置かれている状況とは敗戦を喫し、燃え尽きた状況に似ているというのだ。オリコン11位で悔しい状況ながら、新たなストーリーが浮き上がる瞬間を見てみたい。そしてドロシーと対比されたその圧倒的な「邪道」感が僕の心には刺さった。こうでしか生きれなかったと悟り、開き直った人間は強い。
■「DDTドラマティックファンタジアReturns#4」を制作。追い込み作業中に1日は丸々チンコを隠す処理にかかったのだが、それも自分らしいなと思った。今までで一番「ガクセイプロレスラー」に近い感覚を感じた。つまりそれが僕が大学4年間で悟った原風景だと思う。じゃあそれを更新しなきゃってのが今年なので、それを確認出来て良かった。良い番組が作れたと思う。