ロケハン

秋葉原にてロケハン。隠しカメラコーナーに立って、画面分割された画面に自分がいる変な感覚。「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」、「LOOK」とかメディアへの問題提議となった作品によくある光景。忙しいけど煽りVに使う曲をあれこれ探している。こういう時に音楽と向き合える機会があるのは良いなあ。

新宿ピカデリー砂漠でサーモン・フィッシング』監督: ラッセ・ハルストレム
思っていた作品と違って立派なラブストーリーに仕上がっていた。イエメンでシャケを泳がせるという国家プロジェクトというこれまた一筋縄ではいかないあらすじを、ポップにかつユーモア溢れるテンポで作品を進めていく。途中までこれといって難もなければ、面白みもないような進行のようでいて、最初にメールのやり取りを文字で見せたり、映像上の技法で細部に遊びがあったりして見逃せない。

途中から気付いたのだが、この作品のミソは夢想家が思う思念、そしてそれに関わる仕事やプロジェクトをしているとき、人は仕事以上の感情を突き動かされる時があるということだ。本作はそれをイエメンの富豪家が、理論値以上の「何か」を信じようとする力、思念や人の想いを感じ取ろうとするところから、次第にエミリー・ブラント、そしてユアン・マクレガーがその影響を受け手、未だ見ぬ感動を手にしようする。この脚本家はスラムドッグミリオネアの作者ということもあって、そういう描写がとても上手いのだと思った。つまり理論値や確立的にどうしようもなく、無謀なものに対して、極めて運命論や、奇跡、人の想い、願いなどでそれを乗り越えようとする様を描くのである。しかし難しいのはこれらの描写は極めてご都合主義的にもとれなくもないし、自己啓発的にも見えなくもない。しかしそれをギリギリのラインで良い物語にする力が映画にはあるのだと思い知らされた。特にエミリー・ブラントユアン・マクレガーは組み合わせとして最高に似合っているというか、心の機微を表情にすることに長けているので、感情移入がしやすいのだ。かつユーモア溢れる台詞回しと、テンポとロマンスの配分がとても良い。

理論値上に量れない「何か」ってドキュメンタリーに必要不可欠なものだと思う。
それを脚本で出来てしまうっていうのが凄い恐ろしいことだとも思ったけど、それをやっぱりドキュメンタリーでやる演出っていうのを考えなくちゃだなーと思ったりして、ワクワクさせられましたよ。

でも現実って夢想家野郎がモテるほど甘くないんだよなーと思わず苦笑い。。