『ピープルvsジョージ・ルーカス』

■追加撮影。あとは編集だな。

■渋谷シネクイント『ピープルvsジョージ・ルーカス』監督:アレクサンダー・O・フィリップ
本当に好みの作品だった。自分が求めている、盗みたい技術や視点が全て詰まっていた。そして劇場が沸いていて実に雰囲気が良くなっていて、結果として興行論としても自分が求めているインディー映画の完成形のような気がしてしまった。

作品はスターウォーズを愛し過ぎたが故に人生を狂わせてしまった熱狂的なファン、オタクたちが様々な形で登場し、それだけでも凄腕の素人を発掘したような感覚にさえなり、ロフトプラスワンのイベント的要素をクリアしてみせる。その人たちが生みの親であるルーカスの改編に対して複雑な感情を吐露し、やがて神格化したルーカスに対して、ファンの暴動とも言うべき本音が飛び出してくる。まず映像のテンポが非常に心地良いくらいに速い。それはドキュメンタリーとしての側面だけではなく、もはやサンプリングの文化面を見ても秀逸にまとめられている。編集が全く異なるジャンルの映像をデジタル映画ならではの手法と速度感でまとめあげる。ポストyoutube時代に、映像の洪水に満ち溢れた観客に対して、間違いなくその現在進行形を見せる編集になっている。的確に映像の違いを画面内に配置させ観客に見せる、そしてダラダラと見せる事なく、リズミカルにインタビューを配置していく。

バカなファンたちが愛おしい。

そして愛憎。これこそがドキュメンタリーなのだ。愛しているが故に憎んでしまう。そんな表裏一体の感情こそが人間の理屈を越え始めて感動を呼ぶ。

■BD『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』監督:エドガーライト
再見してみて分かるそのラブコメ度の高さと、遊べるだけ遊んでしまえるその精神性がひたすら素晴らしかった。エドガーライトは映画のあるベクトルで最先端を間違いなく行っている映画監督だと思った。音楽の散りばめさせ方と、やや強引な流れを編集のテンポで回収してしまう技術に感嘆。