飯伏幸太 vs オカダ・カズチカ

8月18日に行われた飯伏幸太 vs オカダ・カズチカの煽りVTRを作りました。
このカードが決まってから、ちょっと異常なまでの緊張感とプレッシャーを感じました。

会社からは「ライトなVTRを制作して欲しい」、「ファンの人や友人からは今成さんにしか撮れない飯伏愛を映して欲しい」などの意見があり、寸前まで構成に悩み続けました。結局飯伏さんのインタビューが撮れたのはG1後で、編集構成に充てられる時間は実質1日半くらいでした。

他の仕事との兼ね合い、他のVTRをあらかじめほぼ制作しきっている状態で臨み、本当にきつかったんですが、友人からのアドバイスや、これは何かの運命だろうと思って決めた曲だったり、最終的に自分自身を高揚しながら作って行きました。
と、同時に終わってはっきりと分かった事は最高の題材にして、このアウトプットが今の僕の「限界」だと思いました。

感想は概ね及第点をもらってはいるものの、これからの自分について考えなくてはならないことで一杯です。



この数週間で経験したことではっきり言える事は
単純に言うと僕はまだまだ勉強不足で、三流だということでした。青二才ってやつです。


一流の人と仕事をすればするほどに、自分には強い考えや、強い作風や、思想がないということです。
本当に譲れない部分を探して行けば、強いて言うなら僕はデブ専ってことぐらいだと思います。マジで。
あとは何だろうプロレスが好きってことくらいでしょうか。最後に残って勝負出来る芯や軸が全然太くないんですよ。


まだまだ選択しているフォント、撮影スタイル等が激甘ですよ。強いて言うなら今回は本当に愛で乗り切った。
プロレスが好きだった今までの人生を出したに過ぎないんですよね。


このVTRを作るまでに友人の北谷君、彼の舎弟である吉川君とめだかで飲みました。80円の激安ビールを飲みながら、この題材に対してどういうスタンスで臨むべきかということについて語り合ったんですね。二人が「今成さんに期待してます」っていうのも凄い伝わって来た。恐らく「煽りV」というものを作る作り手そのものが限られている、そういう特異な作り手の人が少ない中で彼らがかけてくれる期待感みたいなものは何となく理解出来たんですよ。

それは坂井さんからも言ってもらえた。坂井さんが「今成君を煽るためにこれを見せるよ」と言ってくれ見せてくれたものは本当に凄いものだった。
言ってみれば凄い思想でした。ハッキリ言って今の僕の思想では到底敵わない。白旗宣言なんですよ。勉強不足というかスペックが違いすぎるというか。僕はニセモノなんです。紛い物です。


ただ紛い物にも生き方があって、「紛い物のままで良い」という生き方と「ホンモノになりたい」という生き方。そんでもって間違いなく僕は後者に立っているとは思うんです。じゃなかったらやっぱりずっとアマチュアのままでやってたと思います。これはアマチュアを卑下してるんでも何でもなくて、結果としてプロのステージで仕事をしていたという今に至って入る結果論だからこそ言える事なんですが。

もし行ける事ならもう一度大学院にでも行って勉強しなおしたい。勉強しなおすというか、そもそも勉強の仕方すらも教えてもらいたいくらいなんですが、現実問題としてそんなことは出来ない。ただ幸いなことに僕には厳しい意見を言ってくれる友人や、高み合える友人がいるので彼らの意見を聞きながら勉強をしようと思ったんです。


過激でなければ生きられません。思想がなければ越えられない。
自分の作った物に酔いしれているようでは先はない。甘い自己評価を下し、他人を下げてもしょうがないんですよ。


まずはインプットの仕方を変えます。変えるというより嗅覚を持ちながら、ちょっと自分の感性を研ぎ澄まさないと。
これはもうやばいですね。坂井さんが言ってた大学生が作る自主映画が面白いわけがないというのは凄い納得出来ます。


ある二人の映像作家が共に「新世紀エヴァンゲリオン」に影響を受けて作品を作った。しかしエヴァンゲリオンから抽出したものに、その人の「センス」が出る。感性や生き方が出るんですよ。一つの作品から拾い上げるものに、全てが出る。その比較論を友達と話して色んな気付きがありました。

僕が作っているものはある映像作家の影響化に確実にあるけど、結局その作家にもなりきれない。最終的に「今成の解釈」として出されるものに「まだまだ」があります。

結局「今成が作るもの」は僕が考えてるものでしかないんです。だったらそれを更新していくしかない。


ある人は言いました。「今の時代は普通のことを普通にやっていたら伝わらない。伝えるためにはここまでやらないと伝わらないんだ」
本当にそうだと思いました。世にある思想や過激な人物に出会わないと、先は無い。

それでも僕は恵まれています。飯伏さんがいて、坂井さんがいて、高木さんがいて。皆が僕を覚醒させてくれる要因です。
大家健という僕と同じ境遇の男とプロレスをする団体があります。

表現をする場がある、トライする機会があることに感謝しながら、攻めていこうと思いました。もう守りに入るのは終わりです。

ただ「飯伏 vs オカダ」について言えるのは、学生プロレスの映像を作ってた男が3年ちょいでここまで来たんだということはちょっと感慨深いということです。学生プロレスのドキュメンタリーを作っていた男が9000人の観衆の前でプロレス界で最高峰の二人を題材に作品を作ったということだけは、自分の物語としてしっかり刻みたいと思います。大学3年の時に「プロレスはサブカルだから」と言ったクソ教授には中指を突き上げたい気持ちです。

近年の多摩美の卒業生でも9000人の観客の前でVJをする人は現段階でいないはずなんですよ。
そこは自信もって良いと思いました。だからNEXTです。幸い感性を共有出来る人に恵まれてます。とにかくそこは常に更新していかなくてはです。


とりあえず決意表明まで。
このブログは有効に使って行きますよ。