『臨場 劇場版』

Blu-ray恋人たちの予感』監督:ロブ・ライナー
結婚して時間が経過した老夫婦が画面に登場し、何故結婚に至ったかを語り合う。そこで問題提議されるのは、恐らく今から始まる映画が恐らく何らかの恋愛にまつわる話であることを予感させる。その夫婦の映像は90数分の映画の中で何度か挿入される。そのタイミングは描かれる時系列が変わる度で、そのタイミング、そしてそこでメッセージを送ることの構成が、実に映画的である。

徹底して「男女間に友情は存在するのか?」というテーマからブレずに主人公二人のくっつきそうで、くっつかない関係を細かい表情、出来事を描写することで、正確にかつユーモアを持ちながら物語が進んでいく。特に電話のシーンでの画面分割による会話の応酬や、同じ時間を二人がどういう心境、面持ちで過ごしているのかを比較させるシーケンスは、この二人の役者の魅力を更に引き出し、かつ観客の興味を更に注がせる上手い演出であったように思う。二人が続ける会話も実に粋であり、口論をしていても、そこにどこか愛おしさを感じてしまう。口論が不毛であるようで、実に的確な男女の意識の違いを描いていることなど、演出としてどれもが可愛らしく撮れていると思った。

これは秀逸な脚本に、監督のバランス感覚が完全にスイングした好例と言える傑作でありました。

新宿バルト9『臨場 劇場版』監督: 橋本一
最低の演出だった。ほぼ全ての描写、演技に違和感が生じ、尚かつ全ての状況設定、物語の進行を長い台詞で進め、コテコテのサウンドトラックでそれっぽく魅せるという全てが「っぽい」映画。

主人公が登場したり、敵役が登場するたびにスローモーションで足下を映すという演出に対して、誰一人それに答える役者がいない。さらに内野聖陽のトゥーマッチな演技がひたすら似合わない。かつ殺しをする男が最終的の詐病で無罪になっていたという事実も、そもそも演技力がなさ過ぎて、説得力ゼロ。これに関しては狂人になりきれていないし、あまりにナイフで殺しをする前半の描写がお粗末過ぎる。それに体する法廷の描写も酷い。被害者の母親の狂い方や、妄想で犯人を殺害するフラッシュバック演出が酷い。果物ナイフ出して笑うしかなかった。教会のシーケンスや、神を感じさせたりする演出も全く不要。原作からそのままベタッと喋ったような長ったらしい理由の説明や、死亡推定時刻の割り出し方の、「〜は〜だからと聞いた事があります」という単にトリビアを広げるだけの展開もかったるい。

あと登場人物全員が「動機」や「理由」を説明し過ぎだ。それ全員分の説明って必要?
特に終盤になって緊迫しなくちゃいけない場面で、それをベラベラ喋りだす登場人物には辟易する。
まず、それを省略してもっとテンポ良く作れないか?

日本映画はこういうのがあるから、見たくなくなくなる。久しぶりにガッカリする演出。ただ大学時代に自分が撮った映画がこういう感じだったなって思い出したり、自分のVTRって要はこういうことになってるからダメなんだろうなって思えたら見て良かったかもしれない。

良い映画見過ぎてるんだろうな

■西日本ツアーのため夜8時バス出発。小説読んだり、石井選手とプロレスネタで盛り上がったり。さほど長く感じられなく楽しかった。石井さんとは85年生まれ同士、影響を受けた番組、プロレスがほぼ一致していて懐かしい話で盛り上がる。楽しいな。