『ベルフラワー』

■飯伏さん撮影。屋外の方がデジタル一眼撮影の効果がハッキリと感じれた。Vのイメージに合わせて、適材適所の撮影を行っていった。

シアターN渋谷『ベルフラワー』監督:エヴァン・グローデル
自主映画として作られていること、チャプター別の構成など、その所々の自主映画らしさが嬉しいのだけども、監督自身の極私的な体験に基づいた「作らなければ前に進めない」もどかしさが伝わってきて、もう泣けてくる。こう書くと本当に初期のぴあにあるような8mm作品に近い匂いがしてきて、それがデジタルで改良されたカメラによる現代の映画であることにもしっかり価値があると思った。モルモット吉田さんが監督失格の平野さんとの比較考察を言及していたけど、その通りだと実感する。乗り物に自分の叶わぬ夢を託し、狂おしいミューズに人生を翻弄される。そんなありきたりだが、全世界共通の私的な出来事、ラブストーリーは恒久的に必要とされているのだろう。マッドマックス2に憧れるボンクラという設定は、今の時代だからこそのボンクラだし、それは僕の作品のプロレスバカたちとも何ら変わらない。そんな状況でほとんどが妄想で、どこまでが現実かも分からない幻想的な映像はまさにカルト化し、何度も見たくなる映像へと昇華されている。今まさに映画監督が求められているのは私的な題材を、独特の感性を用いた映像でカルト映画を作れるかどうかではないか、そうでなければ凡庸な監督で終わってしまうだろう。