ディノスシネマズ札幌劇場『ザ・マペッツ』監督:ジェームズ・ボビン
非常に愛すべき映画の一つ。人形と人間が同居するある種のパラレルワールドの中で、映画として唯一無二のオリジナリティを確保していたと思う。僕はそのミュージカルシーンの数々に魅せられた。間髪入れず様々な箇所で歌で表現を進行するが、こちとら直ぐに身体が動いてしまうような人間には、有り難い演出だ。さらに勧善懲悪な世界と、それぞれのキャラクターを仲間にしていく展開のテンポの良さ、重要でないサブキャラには「時間がかかるから飛ばしてしまおう」とメタ的に強引に映画を進めてしまうのだが、それがかえってバランスの良さを高めているようだ。執拗にキャラクターの描写を描くばかりか、あえてそれを徹底して捨ててしまったり、ミュージカルシーンに食い込むことで、映画はそれでも成立してしまう。むしろそうすることでカルト的な印象を深めているようだった。これは映画なのだからという価値観のバランスは取り入れるのは難しいが、ここまで「虚」の世界をハッキリと提示していればそれはいらぬ心配のような感じだ。


ディノスシネマズ札幌劇場『アポロ18』監督: ゴンサーロ・ロペス=ギャレゴ