『裏切りのサーカス』

■新宿武蔵野館『裏切りのサーカス』監督: トーマス・アルフレッドソン.
確かに難解な時代背景と伏線、登場人物たちのやり取りに簡単に理解はさせてはくれないような作品。しかしながら、男性キャスト全員が持つその色気と渋さがもうそれだけで映画を見ていて良かったと思わせる何かを放ち始めていた。さらにチェスを始めとする小道具や、たっぷりと時間をかけて滑らかなカメラワークと、モーションタイプによって魅せるオープニングは画面から集中力を持たせる効果があると分かった。当時のアナログな美術はそれだけで妙な色気と質感を持ち合わせており、なかなか現代のデジタルではそれを代替することは難しいのかもしれないと感じた。